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シリーズ工房訪問 (インタビュー) 京からかみ職人 工藤祐史さん

2022/01/11

(注)このコラムは魅力的で伝統工芸品でありながら、現在の身近な暮らしに溶け込んだ「京からかみ(唐紙)」についての連載記事の第3編目となります。

株式会社丸二、からかみ専属職人 工藤祐史さんをお訪ねしました。前1編 2編のコラムは以下をご参照下さい。

シリーズ工房訪問 株式会社丸二 京からかみ製造工房

シリーズ工房訪問 「京からかみ」のあゆみ

これまでの職歴を少し教えてください。人生ではどのようなことに影響されて今の職業を選択されたのでしょうか?

職歴としては ・印刷業(DTPプランナー、DTPデザイナー)

→広告代理店(雑誌広告編集)→職業訓練(WEB製作)の途中でハローワークからお声をかけていただく。

→面接を受け職人に

たまたま全て「紙」に関係する仕事で、それは面白いと思っています。なぜこの職業かといえば、紹介されて面接で合格をもらったのも「紙」だから。めぐりあわせのような気がします。

職業活動で一番苦労したことは何ですか?

 職人になるにあたり苦労した点としては「感覚」をつかむことだったと思います。日によって、湿度や気温の違いで仕上がりに善し悪しが出ます。納期によっては悪い仕上がりでも出荷しなくてはならず、その日でき得る限りの良いものを提供したいので、良い出来だった感覚と悪い出来だった感覚を記憶し、作業に反映させることが必要です。

ご自分の仕事のどんなところが好きですか?

とても歴史のあるアナログな制作方法だというところと、襖紙という部屋において脇役であろうものを作っているというのは気に入っています。

創作活動のインスピレーションの源は何ですか?

職人として依頼品を作るということがメインであまり創作という感じではないですが、何かを創作する際は、自分が楽しむことが源になっています。まずは自分が楽しまないと、人を楽しませることはできないと考えています。

ここ数年の出来事は、お仕事や業界にどのような影響をしましたか?

建築の内装材として使用されることが多いため大きな現場が延期になったり、盆や正月に家族が集まることが無くなり、襖の張り替えが不要不急になってしまったりしますが、さほど大きな影響はありませんでした。

2022年に向けて、当ブログの読者にどんな願いや励ましの言葉をかけますか?

世界的には今まだ耐える時期が続いていると思います。このブログのように情報を発信してくれる人々が、平常に戻った時への楽しみをくれます。そして、外に出ると感染の恐れが…という皆様が、せっかくなので内装に興味をもってくれると幸いです。

工芸品やデザインを愛する方に、自分の作品や製品をお勧めする理由をお聞かせください。人の生活にどのような好影響を与えることができるのでしょうか?

私個人としては「からかみ」は扱いにくい商品だと思っています。水性の顔料で絵付けをしているので濡れた手で触ることができないし、手作りなのでどうしてもハイコストになってしまう。しかし、物を大切にすることで長持ちさせるということを思い出させてくれる商品です。

弊社は襖紙を扱う会社で、「襖」はSDGsの流れ的にとてもマッチするジャパニーズドアであるということを伝えたい。簡易なものも普及していますが、ちゃんとした襖は紙の張り替えもでき縁も引手も打ち直しや交換ができます。古い寺院などの襖は貼替が基本で、大切に使用していれば何百年と使用し続けることができます。自分のおばあちゃんと孫が、さらに昔の先祖と同じ襖を開け閉めするなんてロマンがありませんか?

丸二さんで “からかみ” の手摺り体験のご予約をご希望される際には以下をご参照ください。

京からかみ 丸二 

インタビューと写真:Anastasiya Bulkavets (ArigatoCreative.co)