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絹織物職人 津田功氏インタビュー

2022/09/21

読者のみなさん

 私たちの株式会社渡文での西陣織体験では、この道半世紀の伝統工芸士・津田功氏にお世話になりました。そこで津田功氏のプロフィールもお尋ねしてみましたのでご紹介しましょう。

 あなたの経歴について少しお話しください。どのようなことに影響されて今のお仕事を選択されたのでしょうか?

 私は四国、大洲の出身ですが、親戚の糸商が渡文と取引をしていて社員募集を知りました。幼少期より身近で絹糸をみていたこともあり、絹織物に対するあこがれがあったのも入社の動機になったと思います。

 現在までお仕事を積み重ねてこられた中で、最も困難だったことは何ですか?

一番大変だったのは観世流の能装束の復元作業です。

 何百年も前に織られたものは損傷も激しく色も褪せていましたので、裏の織地をみて本来の色を確認し、生地をほどいて織組織を研究する作業はとても時間がかかりました。

 ご自身の仕事のどんなところに誇りをお持ちでしょうか?

 私の役割はリレーでいうところのアンカーのようなものだと思っています。

 西陣織は分業制なので各分野のプロが施したもの(バトン)をアンカーである織手の私が受け取って織りあげていく。そこにはアンカーの重責を超える喜びと誇りを感じています。

 機を織る際の創作工程での着想源は何ですか?

  趣味で野菜作りをしているのですが、水やりや肥料の加減など自分の手入れにより、いかようにも育つ野菜をみていると、モノを作るという意味で織物も一緒だと思っています。両方に通じることは 心を込めるということではないでしょうか。

 ここ2、3年続くコロナパンデミックは、あなたの仕事や業界にどのような影響を及ぼしましたか?

  外出ができないので着物を着て出かける機会が極端に減ったことは、私たちメーカーにとってもダメージは大きかったです。商品が売れないので生産量は減り、工場に出勤する日数も少なくなりました。 一番怖かったのは毎日手を動かせないことです。

 

 工芸品やデザインを愛する人々に、あなたの作品や製品をお勧めする理由をお聞かせください。人々の生活にどのようなプラスの影響を与えることができるとお考えでしょうか?

 結び易く、シワにならない帯であるということです。そのために織地や織り方に工夫を重ねています。良きもの、人の手を介して作られるものは独自のオーラがあります。それを手に入れたり、身に 着けることで、自信につながりプライドになっていくと信じています。

 株式会社渡文・織成舘の見学と京都西陣織の文化に触れてみたい思われる方は、こちらから体験のご予約をお願い致します。☞渡文(織成舘)

 インタビュー・写真提供:ブルカヴェツ・アナスタシア (ArigatoCreative.co/jp)

 翻訳・編集 :京都伝統産業ミュージアム 佐藤裕