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シリーズ工房訪問 株式会社丸二 京からかみ製造工房
2021/12/22
(注)このコラムは魅力的で伝統工芸品でありながら、現在の身近な暮らしに溶け込んだ「京からかみ(唐紙)」についての連載記事の第1編目となります。
読者の皆様が京都の伝統的で古風な民家や仏教寺院をお訪ねになられたことがあれば、おそらくその繊細な・細かい模様の「襖(ふすま)」に目を奪われた経験をお持ちでしょう。
“からかみ” は伝統的に木彫り装飾された版木で手摺りされた和紙のことで、襖(ふすま)紙や障子紙に使われています。株式会社丸二は“京からかみ”を製造する市内でも数少ない会社の一つです。私たちはありがたいことに、これから皆様にお伝えしようとする京都の伝統工芸 “からかみ” が作られている実際の現場を訪ねる機会にめぐまれました。しかもこの工房では読者の皆様も実際に手摺り体験がすることができます。
そこでご自身ではまだ工房訪問をためらっておられる中で、皆様が訪問された際の実際の工房訪問体験がどのようなものなのか、少し覗いていただくことにしましょう。
最初に日本でどのように “からかみ” の伝統が受け継いでこられたのか簡単な説明を伺った後に(詳しい内容は次回の投稿までしばらくお待ちください。)まずは私たちは丸二さんの工房で伝統的ふすま紙の製法に使われているその七つ道具に目を奪われることになりました。
どうやら木彫り装飾の版木は通常は朴(ほう)の木から出来ているようです。と言うのも、朴の木は柔らかく彫りやすい反面、長期間使われても磨り減りにくい材質だからです。—実際のところ丸二さんの職人さんは100年以上前からの300枚ほどの版木を未だに大切に使われていました。しかし残念なことに今では新しい版木を手彫りできる職人さんを訪ねることは難しいようで、(新しいデザインの依頼のある時は)主にレーザーマシンで彫られているようです。
また手摺り和紙について、丸二さんでは福井県で製造されている“越前鳥の子紙”を使用されており強くて光沢があり、しかも防虫効果もあり優れた材質であることでも知られています。
私たちが高く評価をしているように“和紙”についての良さをご存じの方々なら、何故私たちが工房を訪ねて、たくさんの質問を職人さんにし、自分たちのオリジナルの “からかみ” 制作体験を楽しんだかをご理解いただけるのでないかと思います。(これは改めての機会にご紹介します。)
さて、次回の投稿では “からかみ(唐紙)”の歴史と、何故日本で古くから内装部材として重宝されてきたかのか、より掘り下げてご紹介したいと思います。
丸二さんで “からかみ” の手摺り体験のご予約をご希望される際にはこちらをご参照ください。https://www.kyotoartisans.jp/exp_menu/041-01
https://www.kyotoartisans.jp/exp_menu/041-02
写真と本文:Anastasiya Bulkavets (ArigatoCreative.co)
日本語翻訳 : 京都伝統産業ミュージアム 佐藤裕