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株式会社 堤淺吉漆店訪問
2024/02/13
京都の伝統工芸・産業の中で、外国人観光客を最も魅了するもののひとつとして「(京)漆器」があることに私たちは注目していました。幸いなことに、京都市内の工芸品会社・独立系メーカーの候補リストに、そのためのピッタリな場所がありますので、今回ご紹介させていただきたいと思います。
1909年に創業の堤淺吉漆店は、地元のお客様(職人)のニーズに合わせた高品質な漆の精製・製造を生業とされています。自然の恵みに感謝をし、当初は小規模で堅実なものでしたが、戦時中の困難にも立ち向かいつつ、時代とともに精製技術や設備を向上させ、機械式の精製へと技術革新を遂げました。漆の精製工場として、同社は現在、日本の漆器産業において、重要な役割を果たしています。(実際、国内漆精製のシェア65~70%にも及んでいます。!)。私たちは、代々受け継がれてきた漆の保管庫や精製技術(様々な攪拌機、遠心分離機、三本ロールミル練合機械など)を楽しく見学させていただきました。
現在、4代目堤卓也氏のもと、堤淺吉漆店は伝統と現代の架け橋であり続けています。2004年入社の堤卓也氏は、漆をより多くの人に知ってもらい、身近な存在にする為にさまざまな活動に取り組まれています。
漆の樹液から採取される生漆(きうるし)は、精製工程を経て不純物が取り除かれ、均一で高品質なものに生まれ変わります。伝統的な漆器産業や国宝の修復に使われることが多い漆ですが、堤卓也氏はストロー・スケートボード・自転車・サーフボードなどこれまでにない漆との新しい出会いを提案しています。
工場見学では、漆塗りの作業工程中のサーフボードをいくつか目にすることができました。その後、改めて京都伝統産業ミュージアムの展示室に立ち寄ると、他の職人たちとのコラボレーションによるサーフボードの作品例も展示されていました。↓
その他にも、「うるしのいっぽ」(漆の可能性と魅力を伝える取り組み)、「工芸の森」(植林と森林管理、持続可能なものづくりのためのセンター)、大人から子供までを対象とした漆のワークショップなど、エキサイティングなプロジェクトにも取り組んでいます。
堤淺吉漆店はまた、漆の素材としての未開拓の可能性を探るため、研究機関や大学、企業とのコラボレーションの取組も盛んです。
堤卓也氏へのインタビューと、漆の精製工場見学体験に含まれるプログラムについてはこちらをご参考にお願いします。「049 漆の精製工房見学とふき漆教室 (ふき漆セット付)
漆精製工場の見学や、漆についてもっと知りたい方は、こちらか検索をお願いします。☞: 株式会社堤淺吉漆店
文・写真提供: Anastasiya Bulkavets (ArigatoCreative.co)
翻訳・編集 京都伝統産業ミュージアム 佐藤裕