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牧神祭具店 工房訪問

2023/10/17

 読者のみなさん

 京都において神社は、日本の歴史と職人技のエッセンスを体現する特別な場所であり、神社木工は、精神的な畏敬の念と熟練した職人技を微妙に融合させた芸術として発展を遂げてきました。こうした伝統の中で、牧神祭具店は繊細な木工細工の伝統を守り続け、京都の文化的景観を特徴づける神々しい美しさの体現に長年貢献してこられました。

 神社関連の木工技術は、牧家が四世代にわたって築き上げ継承してきた技術と言えます。その専門技術は、神輿(みこし)や神棚(かみだな)の製作から、社殿の木工細工に至るまで多岐にわたっています。

 こうした神聖な工芸品において、用いられる素材の重要性はいくら語ろうとも語り尽くせるものではありません。檜(ひのき)はその上品な白い木目が有名で、神道における清らかさをも象徴した特性です。檜は神社の建築や神具の製作に不可欠な木材です。神道における木工細工の基本は、節のない柾目(まさめ)の檜(ひのき)を使用します。このように、職人技の重要な出発点は、細心の注意を払ってこの必要不可欠な材料を確保し、それを準備することから始まります。

 工房内にある大切に保管された豊富な木材は、崇高な作品へと姿を変えるのを待ち受けているかのようです。しかしながら、木材がその姿を変える前には、余分な水分を取り除くなど、1年から10年の期間で重要な熟成(乾燥)工程を経ることになります。この乾燥期間は、木材自身が継続的に行う呼吸によって、時間の経過とともに生じる可能性のある「歪み」を防ぐために不可欠な工程と言えます。

 何世代にもわたる献身的な努力と文化遺産への深い尊敬の念を通して、先祖代々牧家の皆様は伝統的な神社木工の技と神聖さを守り続けてこられました。ひとつひとつ丹念に仕上げられた作品は、神道伝統の中核となる原則を守るための揺るぎないコミットメントの証しであり、その伝統が次の世代へと受け継がれることを意味しています。

 神祭具に関して見聞を広め、工房見学などをご希望の方はこちらからご予約ください:☞ 牧神祭具店

 文・写真提供: Anastasiya Bulkavets (ArigatoCreative.co)

 翻訳・編集 京都伝統産業ミュージアム 佐藤裕