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陶磁器 伝統工芸士 三代目高島洸春氏インタビュー

2023/02/21

  あなたの経歴について少しお話しください。人生ではどのようなことに影響されて今のお仕事を選択されたのでしょうか?

1972年京都東山で製陶業を営む両親のもとに生まれました。家業を継ぐことは一度も言われたことはなかったです。大学、大学院で化学を専攻したのち食品メーカーに勤務し、改めて生きていくということや自分の(社会的な意味での)居場所などを考えた時、子供のころから慣れ親しんだ土のにおいと工房の音を引き継ぐことだと決めてこの道を選びました。

これまでの職人としての歩みの中で、最もご苦労されたことはどのような事でしたでしょうか?

 「仕事に苦労はない。すべて自分が学ぶ糧だ。」と日々言われてきたのでこれといって思い出せることはありません。あえて申し上げるなら「人が変わればモノも変わる。」という工房の考え方のもと、父や祖父とは違うオリジナリティを求め、もがいた日々がそういうものなのかもしれません。

 ご自身のお仕事のどんなところがお好きですか? 

ものづくりそのものが好きだったことがあり、基本的には日々前向きに仕事をしております。

 オーダーをいただいたお客さん(レストランや料理屋さん、また一般のみなさん)の期待に添えた時、喜んでいただけることがとてもうれしいです。

 創作活動でのインスピレーション・発想の源はどのようなものですか?

 雑誌やネットの写真はもとより、かばんや靴売り場などの商品の配色が参考になります。また、仕事柄食事に行った時のお店の器やサービスからヒントを得たり、シェフの方から直接アドバイスをいただくこともあります。また、妻や子たちとの会話等から着想することも多いです。

 ここ数年の出来事は、あなたの仕事や業界にどのような影響を及ぼしましたか?

 コロナ禍が私たちの課題をあぶり出してくれたと考えております。

 例えばネットによる販売などは数年後にはもっと大きなものになるなぁと思っていたのですが、どんと来た感じです。ご家庭で食事をされる方も増えたので、今までよりもご自宅のうつわにフォーカスが当たる機会も増えたように思います。

 人が集う機会が減りましたので、その部分のマイナスの要素はもちろんありますが、それを嘆くのではなく新しいものづくりのあり方を考える良い機会になったのではないでしょうか。

 今後2・3年の計画・目標について教えてください。実現されたいことを差し支えなければご教示ください。

 コロナ禍によって家庭食器の良さが見直されたと思います。普段使いの京焼・清水焼のエントリーモデルの制作により一層注力したいと考えております。また、いよいよ人の動きが戻ってきますので、3年間止まっていた海外での展示会や営業活動も再開したいと思っています。

 工芸品やデザインを愛する方に、自分の作品や製品をお勧めする理由をお聞かせください。人の生活にどのような好影響を与えることができるのでしょうか?

  私が取り組んでいる「いっちん」は手づくりの触感をダイレクトに感じていただけると思っています。何気ない日常に一時の温かさや安らぎをご提供できると思っています。また、少ない数量でのオリジナル制作もできますので、思い入れのあるひとしなを手に取っていただきたいです。

工房訪問と京焼・清水焼に根付いた交趾焼の伝統について学びたいとお考えの方はこちらから体験のご予約をお願いします。 ☞洸春窯:洸春陶苑

インタビュー・写真提供:ブルカヴェツ・アナスタシア (ArigatoCreative.co/jp)

文:洸春陶苑 洸春窯 高島慎一

編集:京都伝統産業ミュージアム佐藤裕