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シリーズ工房訪問 「京からかみ」 版木摺り体験

2022/01/18

(注)このコラムは魅力的で伝統工芸品でありながら、現在の身近な暮らしに溶け込んだ「京からかみ(唐紙)」についての連載記事の第4編目となります。前編記事もご参照下さい。

シリーズ工房訪問 株式会社丸二 京からかみ製造工房

シリーズ工房訪問 「京からかみ」のあゆみ

シリーズ工房訪問 (インタビュー) 京からかみ職人 工藤祐史さん

さて読者の皆さんは京からかみ木版摺り体験がどのような作業手順で行われるか興味をお持ちではないでしょうか? 私たちは京都工房コンシェルジュの予約サイトにある「京からかみ版木摺り体験」に挑戦することにしました。

まずは最初に版木摺り体験に必要な必需品、道具についてお話ししましょう。

・ 絵具:海藻の一種「フノリ(布海苔)」、雲母(今回は銀と金)

・ 篩(ふるい):京からかみ摺り専用の特別な道具。

・ 刷毛:篩(ふるい)に染料をぬる為の幅広のもの。

・ 和紙:(鳥の子紙など)厚手のもの

・ 版木:(朴の木)

さて、なんと言ってもこの体験の醍醐味は京からかみ師が季節で使い分けるという昔から使われている版木と同じものが実際に使えることです。しかもそれらの(受け継がれた)3枚の版木と、京からかみはたくさんの選択肢からお好きな和紙4枚(47㎝×28㎝)を選べることです。

ご自身で始める前に京からかみ職人さんは、摺りの手順を手慣れた技を惜しみなく披露してくれます。(京からかみ師へのインタビューを見逃した方は前回投稿をチェックしてください。)

 刷毛で絵具をふるいに移し、ふるいをたたいて優しく木版に絵具を塗り、版木の表面に絵具がすべてにいきわたることを確かめます。更に和紙を版木の上にやさしく置き、手のひらで円を描くような動作で摺り込みます。 

良い出来栄えにする秘訣は、絵具をふるいに移し、和紙に写された文様をずらさないように、ずれで汚さないように二度摺りを行うことです。最後に和紙を素早くめくるところは気の弱い人にはちょっと勇気がいる瞬間かもしれません。

私たちが体験したような比較的小さな京からかみへの手摺りでさえ、とてもテクニックが必要なものです。そこで襖紙に使われているような大きな京からかみが一体どのように摺られているのか。とても知りたいと思いました。京からかみ職人は大きなからかみ摺りでみせる匠の技を私たちに丁寧に披露してくれました。版木に絵具をのせて、襖紙の全面に手摺り文様がゆきわたるように、和紙の位置を12回も置き直しをし、2回目の摺りを含めると24回にもなる手順です。完璧な職人技には私たちは心を動かされました。その後、手摺り工程が終わった京からかみは自然に乾くのを待つことになります。

私たちの工房訪問体験の最後には、自身で摺ったオリジナルな4枚の京からかみを持ち帰ることが出来て、お望みなら(追加の料金で)アートパネルや小型の屏風に仕立てることもできます。

↓ 丸二さんで “からかみ” の手摺り体験のご予約をご希望される際にはこちらをご参照ください。

京からかみ 丸二

文・写真撮影 : Anastasiya Bulkavets (ArigatoCreative.co)

日本語翻訳 : 京都伝統産業ミュージアム 佐藤裕